どれくらいボールが飛んで来るんだろう?
「うわっ!近い!これじゃ打てない!」
「うわっ!!遠い!これじゃ打てない!」
「前だ!あっ行き過ぎた・・」
「あれ??飛んでこなかった・・」
「あれ?足元まで飛んできた!」
これはテニスボールが「どれくらい飛んでくるか解らない」悩めるプレーヤーの声です。
あなたも同じような事を感じる事はないでしょうか?
テニスボールを気持ち良く打つ為には、ボールが「どれくらい飛んで来るのか?」その距離感を掴む必要があります。
距離感が合わないと、いつもボールとの距離が合わず、上手く打つ事が出来ません。
特にストロークの場合は一度地面でボールが弾むので、更に距離感が掴みにくくなります。
「ボレーは上手く打てるのに、ストロークになると距離感が分からない・・・」
こんな悩みを持っている方は少なくありません。
上級者たちはボールがどれくらい弾むかが分かっているので、スムーズに打点に移動し、タイミングよくボールをヒットします。
ところが、ボールとの距離感が分からないプレーヤーはどこに行けば良いか分からないので、スタンスが決まりません。
また、打点の位置や高さもバラバラになり、いつもバランスを崩してヒットします。
その為に、気持ち良くボールを打つ事が出来ません。
そこでテニスコーチはこんなアドバイスをします。
「ボールの飛んでくる距離を予測して、細かく足を動かして調整してください」
「ボールに合わせてリズムよく足を動かしてください」
「左手を出して、ボールとの距離を測ってください」
「ボールを正面で待たずに斜めに構えてください」
「最後まで足を動かしてください」
ですが、実際にこのアドバイスを実践してみてください。
残念ながら、全く効果はないと思います。
それどころか、余計に難しくなります。
どれぐらい細かく足を動かせば良いんでしょう?
どうやって、左手でボールと距離を測れば良いんでしょう?
斜めに構えるにはどこに行けば良いんでしょう?
正直なところ、私がこのアドバイスを実践しようとしても分からない事だらけです。
テニスは見た目以上にすぐにボールが飛んできます。
ただでさえ、時間が無いのにこんな事を考えている暇はありません。
こんな事をしていたのでは益々テニスが難しくなります。
では、一体どうすればボールとの距離感を掴む事が出来るのでしょうか?
実は上手なプレーヤーほど、距離感を測ってはいません。
ところが、距離感が分からないプレーヤーほど「自分がどこに行けば良いのか?」を考え、そして、予測しています。
こんな事を言うとテニスコーチはこう言うかもしれません。
「どこに行けば良いのか?を考え、予測してるうちに出来るようになりますよ」と。
ですが、残念ながら、考えて、予測しながら練習しても、距離感は掴めるようにはなりません。
理由はとても簡単です。
上手なプレーヤーはそんな事をして距離感を掴んだわけではないからです。
と言うよりも距離感を掴む為に必要な練習は別にあるからです。
では、必要な練習とはどのような物か?
それはボールの動きや弾みをイメージ化する事です。
イメージとは過去の感覚記憶情報です。
例えば、梅干しを食べた事がある方なら、梅干しを想像するだけで勝手に口の中に唾が広がります。
これは、頭で考えたわけではなく、イメージによって、身体が勝手に反応しているわけです。
実はボールとの距離感も同じです。
頭で考えたり、予測したりしていると、いつまでもイメージ化されません。
ところが、イメージ化されると身体が勝手にボールとの距離を測り、打ちやすい位置に移動してくれます。
距離感が分からないプレーヤーにとっては信じられない事かもしれません。
ですが、上手な人はこうやってボールを打っているのです。
ですから、上手な人ほど、どうやってボールとの距離を合わせているかがわかりません。
「ボールを見ていると勝手に合う」
こんな感覚です。
ですが、この感覚は特別な人だけが習得出来る感覚ではありません。
必要な練習をすれば、誰でも簡単に身につける事ができます。
それも、時間にして10分もあれば簡単に分かります。
信じられないかもしれませんが、本当です。
梅干しを見て唾が広がるようになるのに一体いくつの梅干しを食べないといけないでしょう?
何十個、何百個と食べる必要があるでしょうか?
いいえ、そんな事はありません。
イメージ化とはそういう物です。
テニスの距離感も同じです。
本当は誰もが簡単にボールとの距離感を掴む事ができます。
ただ、間違った方法で距離感を掴もうとしている為に難しくなっているだけなのです。
ボールとの距離感が掴めるようになると、身体が自動的に打ちやすい位置に移動してくれます。
そして、スタンスが決まり、バランスよくテークバックしてくれます。
ボールとのタイミングを自然と合わせ、気持ち良くボールをヒットしてくれます。
距離感が合うようになるとテニスはもっと、もっと楽しくなります。